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小松パンダ属.パンダ(小松@『折紙探偵団新聞』53号)
原作者 小松英夫


特徴                  
まあ、かわいいパンダちゃんなのである。なのであるけれども、この作品は展開図を
読む者の立場からすると非常にハードな作品なのである。何がハードかと言うと
パンダの首付近の構造なのである。そこで図2の展開図を見ていただきたい。
首に対応する部分の構造が独特であることがわかると思う。しかし、一見しただけ
では、それほど面倒には思えないかも知れない。そこで、図2の展開図だけから作品
を復元することを是非試みていただきたい。この折線通りに折ることが非常に大変な
ことがわかるはずである。このことを踏まえてこの展開図を見てみたい。図3は
一値分解をしたものだが、頭部は頭部だけで一値性をもち(青線)、下半身は下半身
だけで一値性をもっており(緑線)、頭部の一値線と下半身の一値線は45度の角度
で交わっている。そこで、必然的に頭部と下半身を結ぶ首付近の構造に二値分子が
現れるのだが、この分子を折るのが難しいのである。図4にその問題となる二値分子
を示した。青線と緑線が 45度
の角度をなすようにするのだが、この分子だけでも実際に折っていただきたい。
まるで紙の知恵の輪を解くような楽しさがある。



ところで、この分子についてもう少し突っ込んで考えて見たい。どういうことを
考えるかというと、「この二値分子の内部の折り線は美しいけれども、理解するのは
難しい。そこで、この二値分子をとりあえず簡単なものに換えれないだろうか。
それにはどういう条件を満たせばいいのだろうか。」ということを考えてみたい
のである。図5がその条件で、青線と緑線が、同じ色同士では一値性を持ち、青線と
緑線は45度をなし、更に凸と凹で示されたところは、用紙の折り方を示された
とおりに凸か凹にすることが必要なのである。ただし図5をそのまま考えるのは面倒
なので、もっと楽に考えるために図6を見てもらいたい。図5は左右対称なので
半分(図6は図5の左半分)だけ考えて、後から左右をくっつければよいのである。
ピンク線の部分は左右対称なのでどんな折れ方をしていても、まあ大丈夫なのである。
この条件を満たす一例として図7があげられる。これを左右あわせて完全な二値分子
に下のが図8である。もし、このパンダを参考にして何か作品を作りたい場合に、
首付近の折り方が難しいと感じたら、代わりに図8を使って見ることも検討すると
いいかも知れない。
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パンダの面白さを堪能するためにも、実際に図2の展開図どおりに折れ方を体験して
いただきたい。それは、折り図に従うのもいいかも知れないが、展開図だけから
折ってみて、原作者が感じていたはずの紙との対話を少しでも生で感じることを
強くお勧めしたい。作者の小松氏には、全然的外れなことを言っていると
笑われるかもしれないけれども、私としては、そうしないと、この作品にこめられた
メッセージをちゃんとわかることができないような気がするのである。