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小松ウマ属.馬 (小松@『折紙探偵団』60号)
原作者 小松英夫



特徴                  
端正な外見をもつ作品である。そして、その展開図には独特のものがある。
図2が、その展開図であるが、このままでは理解するのが難しい。このような場合の
常套手段は普通は一値性(二値性)を持つ分割線で展開図を小分けにすることである。
一値性の強い作品の場合はうまく基準線を見つけてやれば一発で分割できることも多い。
というわけで早速一値性分割を試みたのだが、この作品は一値分解が非常にしにくい。
強引に分割できないこともないのだが、そうすると、一値性の基準線が、納得できる
ものにならないのだ。普通に一値分解できるものは、その基準線が、作品の中央線
だったり、特別にカドの集まっているところだったりして、構造上の意味がはっきり
しているものなのだが、この作品は強引に一値分解しても基準線が斜めだったり、
前半身と後半身で基準線間の角度があわなかったりして、分解すればするほど
わけがわからなくなってしまう。こうなると次の手段はとにかく簡略化できるところ
は簡略化してしまうことである。それでもう一度展開図を見てみると中心線付近に
なにやら見かけない細長い構造があるっつ!(図3の黄色く塗った部分)



これは頭部に余裕をもたせるための付加的な構造とみなすこともできる。
ということでこの部分をとりあえず省略したのが図4である。
だいぶわかりやすくなったが、まだ構造が良く見えない。そこで折線を折りたたみ
可能条件を満たしながら変形してみる。この操作は造型操作上の細かい折り線を
基本形相当の構造的な折線まで戻す場合に有効な操作である。展開図上で作品を
折りほどく操作といってもいいものだ。


それを行ったのが図5である。ここではこの操作によって、新しく発生した折線は
緑線で、消された折線は黄色でしめしている。このあたりは、一見、おおざっぱな
作業と思われるかも知れないが、一つ一つの過程ごとにその妥当性をチェックして
いるので、結構厳密な操作をしている。
ここで頭部に風船の基本形を沈め折で細くした構造が現れた。
これから、頭部と前足2本と胴体は、風船の基本形を沈め折で細くした構造のもつ
4本のカドに対応していることになる。(図6の白地の部分)
では後ろ足はどうなっているかというと風船の基本形に付加されたような
用紙部分で直接横方向にでているのである(図6ピンク地の部分)。
図6を良く見て、構造の核になっている風船の基本型(含、沈め折り)の白地部分と、
それに対する付加的部分とみなせるピンク色の部分の関係を確認していただきたい。
この図に更に中心線に沿って首を長くするための段折りが加えたのが
本作品の基本構成といえよう。
ところでこの作品では。一値分子としては解釈できないのだが、実際に折ってみると
いろいろな折り線があちこちで予定調和的にそろったり、同じ点に集まったりする、
不思議に思われるかもしれない現象が現れる。これは前川氏の言うところの
レプタイル的性質が、一値分子が無い分よけいはっきりと現れているのだろう。