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カミキリムシ属.クワガタムシ(田中まさし)
原作者 田中まさし



特徴                  
精密に折られた作品で、かつ、自然な雰囲気をもったクワガタムシである。
田中氏から伝えられたところによると、この作品は、クワガタを折るのに
必要なカド数だけはある参考図を図2のように変形して折りあげたもので、さらに
図3の仕込み折りで前翅のワレ、大顎のトゲ、口部分のヒゲ(小顎鬚、下唇鬚?)
を付け加えた実験作、とのことである。
また仕込み折りの仕方は、田中氏によると「仕込み折り後は辺の長さが5分の4の
正方形に。大顎と前肢頂点を結ぶ直線長は、仕込み折り前の正方形の1辺の3分の1。
中肢頂点は、前肢と後肢頂点を合わせて折ってついた線と辺の交点。」


図3                          参考図


とのことである。
ここで、参考図から図2への変形操作について図4,図5,図6にまとめて比較してみる。
なお、図4は図2と同じで、図6は参考図と同じものである。
実際には図6をもとに図4ができたとのことであるが、図6と図4はかなり変化して
いるので、中間に図5を補ってみる。とにかく図6から図5を見て最後に図4を
みていただきたい。ポイントは縦分子図の中で水色に塗ったツルの基本形の変形で
ある。縦分子図では図6も図5も図4もあまり変わらないように見えるが横分子の
様子ははっきり異なっている。特に帯領域のうねりの状態が大きく変わっている
ことがわかると思う。

出発点である図6で広い2本の帯領域が前足と中足の円領域の
間に流れているて、前足とあごの間には帯領域が流れていない。これは、
この展開図を折った基本形では、前足とあごのカドが、同じところから出ていて、
そこから間を置いて中足と後足のカドが出ていることを意味している。
これはクワガタムシとしては不自然な形である。では、どういう形が自然かというと
上の方から、まずあごのカドが出ていて、そこから首があって、間を置いて前足と
中足と後足のカドが接近、または同じところから出ているのがクワガタムシの
本来の姿なのである。このことを踏まえて図4を見よう。図4では、足の円領域の
間にはあったとしても幅の狭い帯領域しかないので図4を折った基本形では前足と中足と
後足のカドが接近して出ることがわかる。また足の円領域とあごの円領域の間には比較的
幅の広い帯領域が流れている(帯領域が大きくうねっているので注意して見よう)。
これは、図4を折った基本形では、足とあごのカドの出ているところが離れている
ことを意味している。
以上のことから図4は図6よりはるかにクワガタムシ的な基本形になっていることが
わかる。
この帯領域の流れ方の変化の原因は、縦分子で水色で示したツルの基本形の
変形操作だが、一般に、縦分子の変形がどのように横分子の帯領域のうねり方を変える
かを理解するには、逆の発想、つまり、横分子の位置関係の変化が縦分子の形を
どのように変えるのか、を考えることが有効である。
そのような観点から図6,図5,図4の横分子を見るのもまた興味深いと思う。