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=====一値性の根底にある考えかた======
折紙において、連続した複数の折線が折ることによって一直線状に集まる性質を
一値性といって、これはこれで非常に便利な利用法があります。その中でよく知られて
いるものは、「一値性を持った分子同士を自由に組み合わせた展開図は、実際に
折りたたむことができる、しかも紙が破れることなしに」ということなのですが、
この一値性という性質は、いったいどういう考え方に基づいているのかということを
書いて見たいと思います。
なぜ一値性が便利かというと、「一値性を持った分子同士を組み合わせれば、紙が
破れることなしに折り上げることができる」からです。ということは、かぎカッコの
中の結果さえ達成できれば別に一値性があろうがなかろうがどうでも良かったりします。
ここで、「一値性を持った分子同士を組み合わせれば、紙が破れることなしに折り上げる
ことができる」ということを、もう少し別の言葉で言い換えてみましょう。 A部分と
B部分からなる展開図があると仮定してみましょう。一般に「紙を折る」ということは
「紙を変形する」という操作です。一値性を使う目的は要するに「A部分に変形操作を
したときの境界線の形状と、B部分に変形操作をしたときの境界線の形状とが一致する」
ということを保証するためです(ここで、境界線とはA部分とB部分の境界線のことです)。
また、「紙が破れることなしに折り上げることができる」ということは、「紙の変形操作の
あとでも用紙は連続である」ということです。
えっと、要するに大事なことは、「変形操作の前にA部分とB部分が連続といえる境界線で
隣接していたとして、これに何らかの変形操作を行ったとします。この変形操作は、
A部分のみに注目すれば連続な変形操作で、また、B部分のみに注目しても連続な変形操作で
あったとします。そうすると、変形操作の後で全体が連続であるためにはA部分とB部分の
境界線が連続であればよい」ということです。って、この文の内容をちゃんと読まれた方は
次のように思われるでしょう。「そんなん、あたりまえだああっつつ!!」と。
そうです、あたりまえなのです。「隣接する2つの部分が、何らかの変形操作の後でも
連続であるならば、その境界線も変形操作によって連続でなきゃこまるよね」、という
非常に分かりやすい話が一値性の根底にある考え方なのです。で、一値性とは、
展開図上の各部分同士の境界線に注目して、どういう境界線のかたちが、折りの活性化に
意味があるかを考えれば自然に気づくことができる概念というわけなのです。

ちなみに、上記の考え方は別に二次元の紙に限った話ではありません。ようするに、
「分割と連続という概念が定義できる対象に、何らかの変換操作が起きる」ような
あらゆる場合に意味をもちます。
したがって、対象は、3次元の粘土細工の物理的変形でも、10次元の物体同士の
9次元の境界面でも、極端なことを言えば、適切な文法と単語から成り立つ文章の
切り貼り操作でも、何でもいいのです。
折紙の場合は、たまたまそれが伸び縮みのない二次元平面上を領域に分けるという話なわけです。
そして、その分割の時にたまたま一値性というツボをおさえると、分割による見通しが
パッと開けるということなのです。


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