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=====帯理論とは======
折り紙の展開図を構成する根源的な要素は何でしょう?
という話になると、すでに折紙原子や折紙分子が知られていて、すでに応用作品も
多数作られていますから、何をいまさらと思われる人もおられるでしょう。
確かに、折紙原子が折り紙の基本単位であることは疑いようのないことで、
別にこれを否定するつもりは全くありません。
でも、ものの見方には色々な角度からの視点があるので、ここは一つ展開図の
根源的要素についても別の視点から見てみましょうということで、帯理論という
ものについて簡単に述べて見たいと思います。

帯理論というのは思いっきり簡単な考え方で、要するに、折紙展開図の全てを
形成するものは帯領域であると考え、展開図の全ての構造を帯領域のうねりから説明
するものです。
たとえば、円領域は帯領域が丸まったものと考えられますし、どんな分子でも
複数の円領域と帯領域が複合したものとみなせます。
したがって、帯領域のうねりが展開図の全ての構造を生み出すという考えは非常に
具体的な事実として示されるものなのです。
ではこのような視点で展開図を眺めることについて、何か利点があるのでしょうか。
実は大ありなのです。その利点は、帯領域を簡略的な円弧の連続体としてみたときは
あまり気づかないのですが、帯領域を展開図上の実際の形、すなわちカクカクと
折れ曲がった、均一幅の帯の連続体を扱うと、はっきり現れるようになります。
どういうことが現れるかというと、熟練した折り手が試謬法で導き出したような
折り方のうちのかなりの部分を、帯領域のうねりによって表現しうるのです。
設計法の発展によって、試謬法では達成することががかなり困難(不可能)といえる
複雑なカドの折り出しが簡単にできるようになりました。
しかし、たとえカドの出方としては単純な形でも、熟練した折り手が試謬法で
導き出した形にはいろいろな面で魅力的な形がたくさんあって、それをどんどん
設計法に取り入れたいという欲求は依然として強くあるのです。そういった魅力的な形を
効率よく設計方法に取り入れるためには設計法のルールのなかで目標とする形の
展開図を表現できることが重要になってきます。
このこと「設計法のルールの中で、目標とする形の展開図を表現する」ことは
たとえば、円領域分子法とかでは、結構穴があってやりにくいのです。
これは考えてみたらあたりまえで、円領域分子法では、本来柔軟に変化すべき帯領域を、
円領域として固定しているのですから、設計上の操作は扱い易くなっていても
(これはこれでかなり重要なことですが)、融通性は欠けてしまうのです。
その点、帯領域のもつ表現力を、そのまま扱う帯理論では非常に融通が高く、
表現しうる範囲が広範なため、熟練した折り手が試謬法で導き出した形でも
かなりの確率で表現できる可能性を秘めているのです。



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