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  h12.12.22
===「人間とコンピュータにおける折紙設計アルゴリズムの違い」===
人間とコンピュータにおける折紙設計アルゴリズムの違いはどのようなものだろうか。
っていうか、その前に人間の折紙設計のアルゴリズムってどんなものだろうかということを考えないと話が混乱してしまうので、まずは、人間の設計アルゴリズム
について考えよう。
人間の折紙設計のアルゴリズムは、人それぞれで色々なやりかた、個性がある。
直角を4等分した22.5度をを基本角度とし、その整数倍の角度を持つ
(いわば角度が量子化された)分子の組み合わせに重点をおいて行う場合もあれば、
円領域(っていうか帯領域)の配置に重点をおいて行う場合もあるし、
分子に重点をおかず、原子の組み合わせに重点をおいて行う場合もある。
ただ、いずれの場合でも基本は、まず最初に折ろうと思った対象の形を各作家の
感覚によって捕らえることであろう。ついでその形を展開図上に置き換えて表現する。
その後で展開図を実際に折って吟味するという流れになるかと思う。
もちろん、こういった流れとは異なる創作アルゴリズムも存在するし、
またアルゴリズム中の各段階の持つ意味というのは、実際にはかなり複雑で、
折紙論的に面白い話が色々あるところなのだが、まずは混乱を避けるため、
典型化単純化して考えてみることは有用である。
さて、この(1)折る対象の形態の把握、(2)展開図上への展開、
(3)折った形の吟味、という設計アルゴリズムの基本パターンは、コンピュータでの
設計アルゴリズムを考える場合でも基本的には全く変わらない。
っていうか、より明確になっていたりする。ただ、人間の場合は各段階で
色々な方式が幅広く実行できるのに対して、コンピュータのアルゴリズムは、
現状ではプログラム化しやすいようにという、折紙の本質にとってはどうでもいいような
制約条件がかかってきてしまって、方法の幅が狭くなってしまっている。
これはコンピュータ設計の本質的な問題ではなく、単にコンピュータ設計がまだ
未発達なことからくる問題であって、将来的には解決されると信じているが、
現状の問題として無視できない。
要するに当面のコンピュータ設計のレベルと言うのは、本来非常に柔軟で、融通のきく
折紙設計の技法を、とにかくカチカチの制約条件で固めて、融通性はないけれども、
確実に実行できるようにしたものといえる。
ここで、誤解のないようにいっておきたいが、自分としてはいくら上記のような問題を
抱えているとしても現状のコンピュータ用アルゴリズムが決してきらいではない、逆に大好きである。
それは、決して普遍的ではないし、出来上がった展開図はまだまだ人間の手によるもの
にはかなわないけれども、折紙の持つ一側面(合理的で知的な好奇心をかきたる)を
純化したものとして実に興味深いのである。

ともあれ、コンピュータ用折紙設計アルゴリズムの開発改良は、
確実に実行できる現状で知られているものを土台として、それをいかにして
人間が行うような多様で柔軟なものにするか、という方針でいくのが現実的な
アプローチといえる。その過程の中で、たとえば、柔軟な評価関数の作成や
二次元円領域分子法などの取り込みが重要な課題となって現れてくるであろう。

事項以下で実際のコンピュータ用アルゴリズムをより具体的に述べてみたい。

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