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=====第2話 原子と分子======
まず、いきなりですが、とにかく下図をみてください。




展開図を分解するには2通りの方法があります。一つは原子に分解する方法で
折線で囲まれた部分を全部バラバラにしてしまいます。
これは折紙設計の創始者である前川さんが名付けたもので、
このようにして、いろいろな原子のパターンを知っておいて、
折紙を設計するときは、このような原子を色々と組み合わせて展開図を作る
というのが折紙設計の基本的な方法なのです。
しかし、おそらく、ほとんどの方が次のように感じることでしょう。
「理屈はそうだろうけど、実際は原子を組み合わせるなんていったって
わけがわからん。」と。
なにを隠しましょう、私も原子を組み合わせることから直接作品を作ることはできません。
おそらく、大御所、前川センセーでも原子から直接設計をするのは至難の技のはずです。
では実際の設計ではどうやっているのでしょう。
そこで登場するのが分子というやつです。たとえば前川さんが「ビバおりがみ」の中で
行っているのは、直角二等辺三角形分子というものと第二次三角形
(これも分子として扱います)というものを組み合わせるという方法です。
分子というものは複数の原子が組み合わさって、構造上も意味を持つようになったものです。
原子は細かすぎて直接設計に使うことはとても難しいのですが、
原子の組み合わせである分子ならば、適当な大きさになっていて、実際に
分子をたくさん折って練習しておけば、折ったときの形を体で覚えておくことができるのです。
さて、ここまで文章を読んでいただけたら、もう一度冒頭の図を見直してください
ブタ基本型が2つの長方形分子でできているということが良く分かると思います。
とりあえずは、この長方形分子を折った形(ブタの基本型を半分に分けた形)
を体で覚えておいてほしいのです。
これを覚えたら、次は長方形分子を縦に引き伸ばしたり縮めたりしたものも
折ってみてください。このあたりを本当に体で覚えることができたら
下図に示したような分子の境界線だけ示したような展開図でも折れるはずです。

図には4個の長方形分子がありますが分子の内部の折線は想像して
試しに折って見てください。体(っていうか手)がこの分子のパターンを覚えていれば、
簡単だと思います。この展開図を折ったものからは、
ブタの基本型よりもはるかに効率的に色々な動物を折りだすことができます。

ここで、もしこの図を折ろうとして何となくできてしまった人は、
設計に必要な基本的な感覚は充分持っていると自覚してください。
貴方の折ったものが正解かどうかは、あまり気にしないで下さい。
何となく折って、何か適当な形になって、何かにできそうだなと
思えるものが折れたら、とりあえず、それで充分です。


いちおう、実際に折った形の写真を下に載せておきます。


さて、これから何か連想して作品を作って見ましょう。
私も一つ作ってみました。
折紙分類で、小松さんの「みみずく」がブタ科と判断して
いたので。それを念頭において、同じ科のチヂミブタ属から
ふくろうを折ってみました。
用紙上で、通常は頭部にされやすいところを、逆さまに尾にしています。
元ネタの小松さんのミミズクのセンスのよさがこの作品では、どこかに
吹っ飛んでいってしまっていますが、爪がしっかりして、指によく止まってくれるので、
それなりかなあ、などと自分では思っているのですが。


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